【書評】もうひとつのプロ野球 - 若者を誘引する「プロスポーツ」という装置 -
- 作者: 石原豊一
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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図書館の新着にあったので、借りて読んでみました。もうひとつのプロ野球と言っているのは日本国内の独立リーグを主に指しており、資金不足であっという間に姿を消した関西独立リーグを中心に、何故若者がそこでプロとして働くことを目指すのか、ということを論じています。
独立リーグで「プロ」と言った所で月給10万円にも満たない上にNPBに参加できる可能性は限りなくゼロなので、将来性もない。そのような環境に、どうして若者がこぞってやってくるのか...本書では「それって自分探しじゃね?」と一定の結論付けを行い、若年層の雇用環境の悪化も相まって好条件の定職につくのが難しいのなら好きな野球をやっていたくもなるのでは、という話が淡々と書かれています。
野球本というよりも、ビジネス書に近い本でした。独立リーグの運営に間接的に警鐘を鳴らしておりますし、ただ野球がやりたいアマチュアの延長線上になっているから自分探しの若者が来てしまうのかもしれない、と。プロなんですから、一定の基準に達せない人間は不要です。その線引きを色濃くしてもよいのかもしれないな、と思いました。
独立リーグの存在意義を否定するわけじゃないですけど、アトラクションとエンターテイメントの違いはハッキリさせないといけないなんだなぁと思う一冊でした。
なお、個人的には独立リーグより女子プロ野球推しです。女子の世界での最高峰のレベルをもっともっと上げて欲しいし、夢の大きさで言えば女子プロ野球のほうがあるかな〜と思います。