リリースポイントが1cmずれると、ホームベース上では30cmずれる
下記、書籍より最も印象に残った一節を。桑田真澄氏の発言です。
- 作者: 桑田真澄,平田竹男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 文庫
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野球ってとても不思議なスポーツで、どんなにすごいバッターがどんなにすごい打球を打っても、野手の正面にいけばアウトなんです。逆にどんな変なあたりでも、野手がいない所に打てばヒットになる。ピッチャーでも、リリースポイントが1cmズレたら、ホームベース上では30cmぐらいズレてしまいます。
バッターで言えば、ボールを捕らえる位置が1cmズレるだけで、ホームランか外野フライでアウトかが分かれる。その差は本当に、紙一重です。ところがこの1cmの差が年俸に換算すると、何億円もの違いになってしまう。数億円の年俸をもらう選手がいる一方で二軍でレギュラーを取れない選手は、400〜500万ぐらいですから。
でもその差は、グランド上ではたった1cmなんです。
このリリースポイントの1cmのズレがホームベースでは30cmになるという桑田の一言、ものすごいドキっとしたし、同時に落ち込んだ。それほどまでに微妙な世界で戦っているんだなこの人達は。
ピッチャーはどんなにすごいボールを持っていても、ど真ん中に行ったら打たれる確率は高くなる。外郭を狙って投げたボールが1cmのリリースポイントズレることで、シュート回転してど真ん中に入るなんてことがザラにある。桑田もある程度大げさに行っているかもしれないけど、1mmずれたら3cmずれることになる。
ピッチャーもバッターも、鏡の前でゲームをする訳にはいかない。つまり、自分が今どのようなフォームでどのリリースポイントで、どんなボールが行ってるかは本番のゲームでは知ることが出来ない。感覚に頼ってると脳内感覚と実際の体の動きがずれたら終わりじゃんか。これがノムさんのいう30過ぎたらガクッと落ちる選手の特徴だろう。
ピッチャーに一番必要な資質は「自分の投球フォームを如何に言語化出来るか」ではないか。何故このフォームにしたのか、このフォームにしたことでどうやってボールに力を伝えるのか、リリースポイントをどこに固定するのか・・・そういったことを言葉に出来ないと、何を修正していいかもわからなくなるだろう。
というわけで・・・、投手においては感覚ではなく理論と技術で自分の投球を築いていくために、運動力学というかそーゆーことを真剣に学ぶべきではないかと考えます。