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【書評】考える配球

私のような配球論大好き人間には非常に楽しめる一冊だった。

考える配球

考える配球

この本ではあくまでも配球のセオリーを中心に記述されている。それもそうで、配球に絶対的な正解は存在しない。キャッチャーの要求通りに物事は運ばないんだから。

配球について、打者中心/投手中心/状況中心の3つの観点から配球のセオリーを分析しており、打者のスイング軌道やステップのタイプなど細かいが重要な分析があった。特に、左打者の場合は利き目と利き腕によってミートポイントが違ってくるという指摘は全く考えたことがなかった。

個人的に1番配球入門として使えると思ったのが、第5章の「リアクション」だった。初球にアウトコースの真っ直ぐを投げた場合には、下記の4パターンが存在する。

  • 見逃し
  • 空振り
  • 一塁側・三塁側のファウル
  • バックネット裏へのファウル

個人的には見逃しも無反応とバットが動いて反応した場合では、ケアすることが違ってくる。反応するということは打つ意思があったことになり、球種なのかコースなのかどっちかが狙い球とかぶったことになるから。

更に配球を難しくしているのは、ノムさんの本に詳しいが打者にも以下の4タイプが存在することだ。有名な野村克也のA〜D型の理論。

野村ノート (小学館文庫)

野村ノート (小学館文庫)

A型 直球に重点を置きながら、変化球にも対応しようとする。
B型 内角か外角、打つコースを決める。
C型 右翼方向か、左翼方向か、打つ方向を決める。
D型 球種にヤマを張る(このタイプは根拠を見つける努力をするとよい)

ただ、A型というのは天才的なセンス(=修正能力かバットコントロール)が無いと、対応したくても出来ない。タイミングを合わせるというのはそれほど難しい。追い込まれたらA型になるタイプは多いらしいが、追い込まれたらC型で対応したほうがええんやないかと思う。球種を2つ待てないなら、初めから待つのを辞めたらいいのに。振らなければ何も始まらないけど、当たらなければ結局なんにも起きないんだからさ。

また、配球の効果を最大限に発揮するのが「錯覚」と「恐怖心」であるという指摘は慧眼だ。実際に、バッティングセンターで140kmのストレートのあと100kmのカーブを投げるマシンに行くといい。本当にタイミングが合わない。びっくりするぐらい・・・。また、錯覚は内外よりも高低のほうが起きる。目線のブレがその錯覚を更に加速させてしまう。ある意味、打者は常に錯覚と戦っているのだろう。

・・・という感じで18.44mの間に起こることをじっくり再考したい場合には、ノムさんの野村ノートと併用して読むと味わい深くなると思います。